妊婦さん用のRSウイルスワクチン(アブリスボ®)について 2025.07.06

 RSウイルスは世界中に広く分布しており、生後1歳までに50%以上が、2歳までにほぼ100%がRSウイルスに感染します。乳幼児における肺炎の約50%、細気管支炎の50~90%がRSウイルス感染症によるとされています。症状は感冒様症状から下気道感染に至るまで様々ですが、特に生後6か月未満で感染すると重症化することが示されています。また、合併症として無呼吸、急性脳症などがあり、後遺症として反復性喘鳴(気管支喘息)があります。日本では、毎年約12万~14万人の2歳未満の乳幼児がRSウイルス感染症と診断され、約4分の1(約3万人)が入院を必要とすると推定されていますが、有効な治療薬はありません(重篤な基礎疾患のある新生児、乳幼児には、モノクローナル抗体療法による予防が可能)。RSウイルス感染による乳児の入院は、基礎疾患を持たない場合も多く(基礎疾患のない正期産児等)、また、月齢別の入院発生数は、生後1~2か月時点でピークとなるため、生後早期から予防策が必要とされています。

 RSウイルス母子免疫ワクチン(アブリスボ®)の機序は母子免疫であり、妊婦に接種することにより母体のRSウイルスに対する中和抗体価を高め、胎盤を通じて母体から胎児へ中和抗体が移行することで、乳児におけるRSウイルスを原因とする下気道疾患(肺炎、気管支炎など)を予防します。今回市販直後調査の第2回結果を受けて、基本的には産科で接種可能ですが、当院でも希望があれば接種可能になりました。適応症は、“妊婦への能動免疫による新生児および乳児におけるRSウイルスを原因とする下気道疾患の予防”で、妊娠24~36週の妊婦(当院ではより有効性が高いとされる28~32週をお勧めしていますが、接種後2週間以内の早産の場合には赤ちゃんに十分な免疫が得られるか不明とされています)に1回0.5mLを筋肉内に接種をお勧めしています。妊娠高血圧症候群の方は産科と相談が必要ですが、特に、乳幼児のご兄弟がいるご家庭はご検討いただきたいと考えます。 院長

帯状疱疹にかかったら、家庭内で気を付けること(2025.06.12)

帯状疱疹にかかったら、家庭内で気をつけることは

 帯状疱疹は、水痘ウイルスが再活性化することで引き起こされるウイルス感染症です。水痘(水ぼうそう)と同じウイルスですが、口唇や性器ヘルペスとは違うウイルスです。

初めてこのウイルスに感染すると水痘(水ぼうそう)を発症しますが、治った後も体内に残り、体力や免疫力の低下などによってウイルスが再び活性化されて発症します。

 帯状疱疹は、水痘(水ぼうそう)や帯状疱疹にかかったことがある方にはうつりません。ただし、確実にかかったかどうかわからない、ワクチンを2回接種したか不明な方にはうつってしまう可能性があるので、以下の注意が必要です。

直接接触を避ける:帯状疱疹の発疹部位は非常に感染力が高いため、直接触れることは避けるようにしましょう。特に水疱(水ぶくれ)の内容液や傷になっているところをさわるとより感染しやすくなります。発疹を触った手で、自分の他の部位を触ったり、引っ掻いたりすると「とびひ」することがあります。

衛生管理に注意する:帯状疱疹にかかった人の用具や衣服は定期的に洗濯し、清潔に保ちましょう。また、手洗いを頻繁に行うことも重要です。

免疫力を高める:免疫力が低下すると、帯状疱疹のリスクが高まります。食生活や睡眠、運動を適度に行い、健康的なライフスタイルを維持することが大切です。予防接種も非常に有効な予防手段です。現在は、50歳以上の方は名古屋市から補助が出ますので、病院にご相談ください。

医師の指示に従う:帯状疱疹にかかった人は、医師の指示に従い、適切な治療を受けることが重要です。また、発疹が痛みを伴う場合は、鎮痛剤を処方されることがありますので、適切に服用するようにしてください。さらに、発疹が治っても痛みが続くこともあり、治ってもすぐに再発することもあり、注意が必要です。

Q1. タオルとかの使用は大丈夫?

 帯状疱疹にかかった人が使用したタオルや衣服などは、帯状疱疹のウイルスが付着している可能性があるため、他の人と共有することは避けるようにしましょう。特に、タオルは帯状疱疹の発疹部位に触れることがあるため、個人用のタオルを使用することが望ましいです。また、帯状疱疹にかかった人が使用した衣服や寝具類も、定期的に洗濯することでウイルスの除去ができます。帯状疱疹のウイルスは、高温での洗濯や乾燥機での乾燥に弱いため、これらの方法で洗濯することが効果的です。

Q2. お風呂は大丈夫?

 お風呂については、帯状疱疹にかかった人が入浴することは問題ありません。しかし帯状疱疹の発疹部位は非常に感染力が高いため、帯状疱疹にかかった人がお風呂に入る場合は、浴槽やシャワーなどの共有部分に触れることがないように注意しましょう。可能であれば、最後に入浴するようにし、帯状疱疹にかかった人が入浴した後には、浴槽やシャワーなどをしっかり清掃することが望ましいです。

Q3. 消毒方法は?

*消毒剤: 市販されている消毒剤を使用する方法があります。一般的には、塩素系の消毒剤(次亜塩素酸ナトリウム)が効果的です。消毒剤の使用にあたっては、必ず取扱説明書に従って正しい方法で行ってください。

*アルコール:アルコール(エタノール)を使用する方法もあり、アルコールには殺菌殺ウイルス効果があります。注意点としては、アルコールが乾燥するまで待つ必要があることです。

*手指や肌にウイルスが付着した可能性がある場合には、石鹸による水道洗浄をしっかり行えば大丈夫ですが、アルコール塗布も追加しておけばさらに有効です。

*熱水消毒:80℃の熱水に約10分間衣類などをひたすことによってウイルスを殺すことも可能です。

Q4. 子供には近づかない

 まだ水痘(水ぼうそう)ワクチンを接種していない、または接種が完了していない(1歳半から2歳以下)幼児または成人は、感染すると水痘(水ぼうそう)を発症する可能性があり、接触は控えてください。

                      たけうちファミリークリニック 052-752-1780

一般事業主行動計画について(2025.06.01)

モデル計画:出産をきっかけに退職する女性スタッフがないように、出産前後の支援を強化したい診療所

たけうちファミリークリニック行動計画

スタッフが仕事と子育てを両立させることができ、すべてのスタッフがその能力を十分に発揮できるようにする。そのために、スタッフの働き方を見直し、特に女性スタッフの継続就業者が増えるよう、妊娠・出産・復職時における支援に取り組むため、次のように行動計画を策定する。

1.計画期間 2025 年 4 月 1 日~ 2028 年 3 月 31 日までの3年間

2.内容

目標1:計画期間内に、育児休業の取得率を次の水準以上とする。男性スタッフ・・・取得率50%以上女性スタッフ・・・取得率80%以上

<対策>

 ●  2025 年 4月~ 各職場における休業者の業務カバー体制の検討(代替要員の確保、業務体制の見直し、業務の再分担など)

 ●  2025 年 4月~ 育児復帰支援プランの公示

 ●  2025 年 5月~ 業務カバー体制の実施

目標2:育児休業を取得予定のスタッフ及び育児休業から復職したスタッフに対するメンター制度を導入する。

<対策>

 ●  2025 年 4月~ 育休取得に関する全スタッフに対する聞き取り実施、検討

 ●  2025  年  4月~  運用ルールの検討、メンター選定

 ●     2025  年  5月~  メンター研修の実施

 ●     2025  年  6月~  制度導入、社員への周知

目標3:子育て費用の助成制度を導入する。

<対策>

 ●  2025 年 4月~ スタッフのニーズの確認、検討開始

 ●     2025 年 6月~ 制度導入準備

 ●  2025 年 8月~ 制度申請

6月からスギ花粉症舌下免疫療法(シダアキュア(R))の新規の方の治療を開始します(2025.05.29)

当院では、舌下免疫療法(スギ花粉症→シダキュア(R)、ダニアレルギー→ミティキュア(R))が可能です。

採血にてアレルギー検査を行い、鼻炎の所見と合わせて治療を開始します。5歳以上の方を対象としています。花粉症・通年性アレルギーの症状でお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。

汗の季節になりました(多汗症のお薬について) 2025.05.22

汗の季節になりました。多汗症と言って、全身、特に顔面に多量の汗がでる全身性多汗症や、手のひら(手掌多汗症)や両脇(腋窩多汗症)に限局して多量の汗がでて、腋臭や感染に悩んでいませんか?当院では、これらの原因を調べて、その原因に応じて内科的治療(内服薬、外用薬、漢方薬)をご提案しています。是非、一度ご相談ください。

2025年4月からの診療体制(2025.05.07)

2025年4月1日より、応援医師(女性医師)の協力のもとに、当院は平日診療は2診体制になりました(実際には、2024年9月から不定期でお願いしていた女性医師です)。元来、土曜日は別の応援医師とともに2診体制でした。

このことにより、女性医師希望の方(婦人病、育児相談、発育相談など)の対応が平日毎日可能となりました。院長もがん相談、セカンドオピニオン外来、栄養相談なども余裕をもって可能になりましたので、皆様のさらにお役に立てると思います。是非、ご利用ください。

当院におけるカスタマーハラスメント対応について(2024.11.12)

カスタマーハラスメントとは

患者さん等からの妥当性のない要求や社会通念上相当ではないような言動で、具体的には次のような行為を指します。

・大声、暴言または脅迫的な言動やセクシャルハラスメント等により、他の病院利用者に迷惑を及ぼす、あるいは当院職員の業務を妨げること

・病院利用者、当院職員に対する暴力行為など

・無理な要求を繰り返し行う、長時間(30分以上)の電話や対応により、当院職員の業務を妨げること

・言われのない謝罪や謝罪文の強要、土下座の強要など

・無許可での病院内の撮影や録画・録音を行うこと

・当院職員の指示に従わない行為正当な理由のない状態での不退去(病院内の居座り)、建物設備等を故意に破損する等の行為

・当院職員の指示に従わない行為

・当院の職員に対する一方的なインターネットおよびSNS上での批判、誹謗、中傷など

・その他、当院が医療に支障を来す迷惑行為と認めたもの

カスタマーハラスメントへの対応方針

 当院ではカスタマーハラスメントに該当すると認められた場合、院長の判断のもとに、対面や電話等での対応を中断するほか、安心・安全な医療の提供を継続するため院外退去(強制退院を含む)を命じます。また、応じていただけない場合や被害を受ける恐れがある場合には警察に介入を依頼します。さらに、当院と患者さん等の間で診療を継続していくための信頼関係が破綻していると当院が判断した場合は新たな診療には応じられません。インターネット上で当院職員に関する言われなき誹謗中傷を確認した場合も法的対応を取らせていただきます。

以上、患者さんのご理解とご協力のもとに、信頼できる医療環境の構築に邁進していきますので、ご了承くださいますようお願い申し上げます。

   2024年11月12日  たけうちファミリークリニック 院長

2024年4月からのワクチン変更について(2024.03.26)

 上記の件について、以下の変更があります。

1.小児肺炎球菌ワクチンがプレベナー(13価)からバクニュバンス(15価)に完全切り替えになります。2価増えたということは、2種類の肺炎球菌に有効性が増えたことになり、安全性・有効性にも問題ありません。これまでプレベナーを接種したお子さんでも、4月からはバクニュバンスに変更して差し支えないとのことなので、名古屋市は完全切り替えになります。予約時にご確認ください。

2.新生児2ヶ月から4回接種していた4種混合ワクチン(ジフテリア、百日咳、破傷風、不活化ポリオ)にインフルエンザ菌b型のワクチンを加えた5種混合ワクチンの接種も可能になります。基本的には、同じワクチン成分ですが、これまで4種混合ワクチンを接種していたお子さんからの変更はできませんので、新しく接種をスタートした2ヶ月以降のお子さんが対象となります。こちらも有効性・安全性には問題なく、注射の回数が減るメリットもあり、当院でも積極的に接種していきます。

3.65歳以上の肺炎球菌ワクチンの定期接種は名古屋市の補助は継続になりました。当院でも積極的にお勧めしていますので、ご相談ください。現在は、ニューモバックス(23価)を接種した後に、プレベナー(13価)の接種を自費でお勧めしています。プレベナーの代わりにバクニュバンス(15価)の使用も可能ですが、現在ガイドライン等のエビデンスを検討中ですので、ご相談ください。

                                          院長

2024年花粉症対策について

 当院では、即効性で眠気が少ないビラノア(R)や、鼻炎・かゆみなどの症状抑制に有効とされる抗血小板活性化因子(PAF)効果が追加されたルパフィン(R)血液中の薬物濃度が安定していて効果が一定なアレサガテープ(R)も処方しています。鼻詰まりの強い方には、オノン(R)やシングレア(R)も併用可能です。従来の抗アレルギー薬で効果が不十分な方は、一度薬剤の変更などもご検討ください。また、漢方薬(小青竜湯など)の併用も有効な場合が多いです。鼻の吸入薬や目薬も各種相談に応じて処方しています。

 さらに当院では、スギ花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)やダニによる通年性アレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法が可能です。舌下免疫療法とは、アレルゲンと呼ばれるアレルギーの原因を含む治療薬を服用してアレルギーを治療することで、注射の痛みがなく、自宅で可能な治療法です。どちらも個人差はあるようですが、約70~80%に効果が認められ(治る可能性は20%くらい)、アナフィラキシー(血圧低下や呼吸困難など)とよばれる重篤な副作用は極めて少ないと言われています。ただし、口のかゆみやはれ、不快感など軽度のものが認められることはあります。効果は、鼻炎だけでなく、眼やのどの症状にも有効で、他のアレルギー治療薬を減らせる効果が期待できます。ただし、現在のところ、スギ花粉症、ダニ(ハウスダストも可能性あり)によるアレルギー性鼻炎のみしか薬がなく、他のアレルギーには無効です。気管支喘息に関しては、保険適応ではありません。

 内服は1日1回で、5歳から65歳までの方が投与可能です。ステロイド剤の内服以外は、他のお薬と併用可能です。最低2年間内服して、3~5年内服継続し、効果が安定していれば、一旦終了する治療です。そして、また症状再燃あれば再開することになります。この治療は、内服してすぐに効果がでるものではないので、効果が期待できるのに3ヶ月以上かかると言われているので、スギ花粉症の治療であれば10月までに開始することをおすすめしています(スギ花粉症の場合、飛散時期には開始しない方がいいと言われているので、1月から5月の間はおすすめしません。また、早ければ早く始めた方が有効なようなので6月からがおすすめです)。ダニについては、特におすすめの期日はありませんが、花粉症のシーズンは避けることをおすすめしています。最初の1か月は、副作用の確認のため、1~2週間ごとに通院していただきますが、2か月目以降安定すれば1か月に1回の通院で可能です。

 実際に治療を開始する際には、身体診察にアレルギーなどの問診にくわえて、鼻の診察、採血によるアレルゲンの確認を行い、投薬可能かどうか判定させていただきます。1回の診察ですみますが、結果判明まで約1~2週間かかります。初回投与は、安全のために院内で行い、30分ほど院内で経過を診させていただきます。以下に、治療のおすすめの方をあげさせていただきます。

  • スギ花粉症やダニアレルギーが採血などで確定している。
  • アレルギーの症状が強く、薬の効果が少ない。
  • アレルギーの薬の副作用(眠気や口の渇き、倦怠感など)がつらい。
  • 受験や妊娠などのイベントが数年以内に予定されている(ただし、妊娠中の内服については医師の判断になるため、治療終了時の妊娠が安全です)。
  • アレルギーの症状や薬の副作用が差し支える職種である。

逆に、治療について注意が必要な方は、

  • アナフィラキシーなどの重篤なアレルギーを起こしたことがある方
  • 安定していない気管支喘息
  • 重篤な心疾患、肺疾患のある方
  • ステロイドや免疫抑制剤をのんでいる、がんなどの治療中の方
  • 口の中に傷がある、口内炎などの口の中に炎症がある方
  • 妊娠、授乳中の方
  • 12歳未満、65歳超の方

治療のご相談は、当院までお願いいたします。

参考:もっと知りたいアレルゲン免疫療法

駐車場広くなりました(2024.01.09)

駐車場広くなりました。ご利用ください。