
当院では、即効性で眠気が少ないビラノア(R)や、鼻炎・かゆみなどの症状抑制に有効とされる抗血小板活性化因子(PAF)効果が追加されたルパフィン(R)、血液中の薬物濃度が安定していて効果が一定なアレサガテープ(R)も処方しています。鼻詰まりの強い方には、オノン(R)やシングレア(R)も併用可能です。従来の抗アレルギー薬で効果が不十分な方は、一度薬剤の変更などもご検討ください。また、漢方薬(小青竜湯など)の併用も有効な場合が多いです。鼻の吸入薬や目薬も各種相談に応じて処方しています。
さらに当院では、スギ花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)やダニによる通年性アレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法が可能です。舌下免疫療法とは、アレルゲンと呼ばれるアレルギーの原因を含む治療薬を服用してアレルギーを治療することで、注射の痛みがなく、自宅で可能な治療法です。どちらも個人差はあるようですが、約70~80%に効果が認められ(治る可能性は20%くらい)、アナフィラキシー(血圧低下や呼吸困難など)とよばれる重篤な副作用は極めて少ないと言われています。ただし、口のかゆみやはれ、不快感など軽度のものが認められることはあります。効果は、鼻炎だけでなく、眼やのどの症状にも有効で、他のアレルギー治療薬を減らせる効果が期待できます。ただし、現在のところ、スギ花粉症、ダニ(ハウスダストも可能性あり)によるアレルギー性鼻炎のみしか薬がなく、他のアレルギーには無効です。気管支喘息に関しては、保険適応ではありません。
内服は1日1回で、5歳から65歳までの方が投与可能です。ステロイド剤の内服以外は、他のお薬と併用可能です。最低2年間内服して、3~5年内服継続し、効果が安定していれば、一旦終了する治療です。そして、また症状再燃あれば再開することになります。この治療は、内服してすぐに効果がでるものではないので、効果が期待できるのに3ヶ月以上かかると言われているので、スギ花粉症の治療であれば10月までに開始することをおすすめしています(スギ花粉症の場合、飛散時期には開始しない方がいいと言われているので、1月から5月の間はおすすめしません。また、早ければ早く始めた方が有効なようなので6月からがおすすめです)。ダニについては、特におすすめの期日はありませんが、花粉症のシーズンは避けることをおすすめしています。最初の1か月は、副作用の確認のため、1~2週間ごとに通院していただきますが、2か月目以降安定すれば1か月に1回の通院で可能です。
実際に治療を開始する際には、身体診察にアレルギーなどの問診にくわえて、鼻の診察、採血によるアレルゲンの確認を行い、投薬可能かどうか判定させていただきます。1回の診察ですみますが、結果判明まで約1~2週間かかります。初回投与は、安全のために院内で行い、30分ほど院内で経過を診させていただきます。以下に、治療のおすすめの方をあげさせていただきます。
- スギ花粉症やダニアレルギーが採血などで確定している。
- アレルギーの症状が強く、薬の効果が少ない。
- アレルギーの薬の副作用(眠気や口の渇き、倦怠感など)がつらい。
- 受験や妊娠などのイベントが数年以内に予定されている(ただし、妊娠中の内服については医師の判断になるため、治療終了時の妊娠が安全です)。
- アレルギーの症状や薬の副作用が差し支える職種である。
逆に、治療について注意が必要な方は、
- アナフィラキシーなどの重篤なアレルギーを起こしたことがある方
- 安定していない気管支喘息
- 重篤な心疾患、肺疾患のある方
- ステロイドや免疫抑制剤をのんでいる、がんなどの治療中の方
- 口の中に傷がある、口内炎などの口の中に炎症がある方
- 妊娠、授乳中の方
- 12歳未満、65歳超の方
治療のご相談は、当院までお願いいたします。