2017年1月25日に高齢者(65歳以上)の肺炎球菌ワクチンについてNHKのガッテンで取り上げられ、多くの患者さんから問い合わせがあり、当院における考え方を説明させていただきます。
65歳以上の高齢者の方に必要な肺炎球菌ワクチンには、2種類あります。まずは、ニューモバックス®という23価莢膜ポリサッカライドワクチンがあり、現在65歳以上の高齢者に定期接種制度(初回のみ半額補助あり)の対象となっているワクチンです。こちらは、肺炎球菌による肺炎の重症化を防ぐ効果が高いですが、効果が5年で繰り返し接種する必要があります(当院では、自費の場合1回8000円)。もう一つは、小児に用いられていたプレベナー®13価結合型ワクチンで、こちらは自費のみですが、2015年から65歳以上の高齢者にも接種可能となりました。こちらは、肺炎球菌の定着を防ぎ、効果は一生持続すると言われています(当院では1回9000円)。米国では、両者を接種することによる相乗効果が指摘されていて、2014年から両者の接種を推奨しています。現時点では、日本人におけるエビデンス(臨床効果における根拠)は未確立とされています。従って、当院では、肺炎に罹患しやすい高齢者の方には、以下のメニューで両者の接種をおすすめしています。特に、プレベナーを接種した方には、ニューモバックス®の再接種は重症疾患のない方には必要ないと考えています。
A)65歳以上で重症疾患のある方でニューモバックス®未接種の方 | プレベナー® → 6か月から1年後ニューモバックス® |
B)65歳以上でニューモバックス®未接種の方 | ニューモバックス® → 1年後プレベナー® |
C)65歳以上でニューモバックス®接種すみの方 | 1~5年後にプレベナー®(期間は相談) |
D)60~64歳の心・腎・呼吸器重症疾患またはHIV患者の方 | ニューモバックス® → 65歳プレベナー® |
尚、名古屋市は65歳以上の方で初回の方のみ、年齢に関わらずニューモバックス®は任意接種(補助あり)の対象となります。