問診
患者が無理なら、家族・介護者に確認。聖隷式嚥下質問表は、Aが一つでもあれば嚥下障害、Bが一つでもあれば疑い。
肺炎と診断されたことがありますか? |
|
---|---|
痩せてきましたか? |
|
物が飲み込みにくいと感じることがありますか? |
|
食事中にむせることがありますか? |
|
お茶を飲むときにむせることがありますか? |
|
食事中や食後、それ以外の時にものどがゴロゴロ(痰がからんだ感じ)することがありますか? |
|
のどに食べ物が残る感じがすることがありますか? |
|
食べるのが遅くなりましたか? |
|
硬いものが食べにくくなりましたか? |
|
口から食べ物がこぼれることがありますか? |
|
口の中に食べ物が残ることがありますか? |
|
食物や酸っぱい液が胃からのどに戻ってくることがありますか? |
|
胸に食べ物が残ったり、詰まった感じがすることがありますか? |
|
夜、咳で寝られなかったり目覚めることがありますか? |
|
声がかすれてきましたか?(がらがら声、かすれ声など) |
|
情報収集
主な症状
むせ | どういう食品でむせるか、食べはじめにむせるか、疲れるとむせるか |
---|---|
咳 | 食事中や食後の咳は多くないか、夜間の咳はないか |
痰の性状、量 | 食物残渣はないか、食事を開始してから量は多くないか |
喉頭異常感、食物残留感 | 部位はどこか |
嚥下困難感 | 食物による差はあるか |
声 | 食後に声の変化はないか、ガラガラ声ではないか |
食欲低下 | むせる、苦しいから食べないなど |
食事内容の変化 | 飲み込み易いものだけを選んでいないか、食事の好みがかわったことはないか |
食事時間の延長 | 口の中にいつまでも食べ物をため、なかなか飲み込まない |
食べ方の変化 | 上を向いて食べる、汁物と交互に食べている、口からこぼれる |
食事中の疲労 | 食事に伴う低酸素血症はないか |
口腔内の汚れ | ひどい歯垢、食物残渣、口臭は口腔期の問題と関連があるか |
体重減少、脱水、発熱 | 他の原因が不明なときは特に重要 |
誤嚥・窒息の既往 |
医師、看護師からの情報収集
- 嚥下障害の原因となる疾患の確認
- 発症経過月数:脳血管障害の場合0-3ヶ月
多発性脳梗塞の場合は発症1年以上経過しても要注意 - 誤嚥性肺炎の既往・熱型
一度誤嚥性肺炎を起こしたものは反復して起こしやすい - 原因疾患を特定できないのに炎症反応値などが高いもの
- 体重の増減…体重減少が継続しているもの
- 服薬内容…抗てんかん薬・向精神薬・抗パーキンソン薬などは嚥下機能を低下させることもある
患者の観察
- 呼吸状態
- 頻呼吸、無呼吸、努力様呼吸
- 音声
- ごろごろ・ゼロゼロ、ガラガラ声、声がれ
- 会話明瞭度
-
- 全てわかる(誤嚥率25%)
- 時々わからない(誤嚥率30%)
- 内容がわかっていればわかる(誤嚥率48%)
- 時々わかる(誤嚥率50%)
- 全くわからない(誤嚥率67%)
- 精神機能
- 意識障害、発動性低下、注意障害の程度は?
- 体幹・頸部の姿勢
- 安定しているか、前傾していかないか
- 歯茎と頬の間や軟口蓋に食物がたまっていないか
- 唾液嚥下時の咳・むせはないか
- 流涎・頻回の排痰、自力排痰困難はないか
- 頸部嚥下音聴診・肺野呼吸音聴取
簡単な嚥下評価
- 反復唾液飲みテスト
- 改訂水飲みテスト
- フードテスト
- パルスオキシメーター
可能であれば、VEにて再評価も必要。困った時は、専門家に必ず相談すること
誤嚥性肺炎のチェックポイント
- 食事中・後に、SpO2 低下
- 食事中・後に、呼吸数増加・頻脈
- 食事中・後に、声がれがある
- 食事中・後に、顔が紅潮する
- 食事中・後に、発熱がある
- 食事中・後に、異常に汗をかく
- 食事中・後に、むせる、咳をする、痰が汚い
- 食事中・後に、のどがゴロゴロいう
- 食事中・後に、気管支狭窄音が聞こえる
- 食事後に、口腔内に食物残さがある、においがする
- 食事後に、舌が栄養剤の色、口腔内の糖強陽性
- 食事時間が長くなる、食後がつかれる
- 食事をいやがる、食事量が減る、好みがかわる
- 原因不明の発熱を繰り返す