肺炎球菌感染症の概要
肺炎球菌感染症とは、肺炎球菌という細菌によって引き起こされる病気です。日本人の約5~10%の高齢者では鼻や喉の奥に菌が常在しているとされ、これらの菌が増殖し、下気道や血流中へ侵入することで、気管支炎、肺炎、敗血症などの重い合併症を起こすことがあります。特に肺炎は日本人の死因の上位であり、中でも肺炎球菌性肺炎は、成人肺炎の20%近くを占め、高齢者や基礎疾患を有する者で重篤化しやすい疾患です。

成人肺炎診療ガイドライン2024 日本呼吸器学会より引用
肺炎は、日本人の死亡原因でも上位にある(2024年で5位)、決して油断できない病気のひとつです。とくに65歳以上の高齢の方、糖尿病や心疾患・肺疾患をお持ちの方は、肺炎球菌による重い肺炎や髄膜炎、敗血症のリスクが高まります。また、肺炎で亡くなる方の97.8%が65歳以上(2023年新型コロナウイルス感染症による死亡者は含まず)であることから、特に65歳以上の方は肺炎球菌などによる肺炎を予防することが重要になります。


厚生労働省 令和6年(2024)人口動態統計月報年計(概数)の概況
ワクチンによる肺炎球菌肺炎予防
肺炎球菌は、肺炎球菌莢膜ポリサッカライド(細菌膜の構成要素)の抗原性により、少なくとも100種類の血清型に分類されるグラム陽性球菌です。その血清型の特性によって、中耳炎や副鼻腔炎、菌血症を伴わない肺炎などの非侵襲性肺炎球菌感染症を生じ、髄液や血液中に侵入した場合には、菌血症や髄膜炎などの重篤な侵襲性肺炎球菌感染症を発症します。現在では、その予防において肺炎球菌ワクチンが最も有効とされています。
65歳以上の高齢者の方に必要な肺炎球菌ワクチンには、2種類あります。まずは、ニューモバックス®という23価(血清型の数)莢膜ポリサッカライドワクチンがあり、65歳以上の高齢者に2026年3月まで定期接種制度(初回のみ自己負担4000円)の対象となっていたワクチンです。こちらは、肺炎球菌による肺炎の重症化を防ぐ効果が高いですが、効果が5年間で繰り返し接種する必要があります(当院では、自費の場合1回8000円)。
もう一つは、小児に用いられているプレベナー®20(20価結合型ワクチン)で、こちらは2026年4月よりニューモバックス®に変わって65歳以上の高齢者の定期接種となりました。こちらは、肺炎球菌の定着を防ぎ、効果は一生近く持続すると言われていて、この20種類の血清型は成人侵襲性肺炎球菌感染症の原因の約5~6割を占めるという研究結果があり、血清型に関係なく侵襲性肺炎球菌感染症の3~4割を予防する効果があります。このワクチンは現時点で1回のみの接種となっています。
新しい肺炎球菌ワクチンプレベナー®20
プレベナー®20は、ファイザー社が開発した20価肺炎球菌結合型ワクチンで、次のような特徴があります。
- 20種類の血清型の肺炎球菌に対応(侵襲性肺炎球菌感染症の約50%に対応)
- 体に長く免疫が残る「記憶免疫型」(IgG型メモリーB細胞の活性化)
- 再接種による効果減弱が起きにくい
これにより、肺炎球菌による重篤な感染症のリスクをより広く、しっかりと長く防ぐことが期待されています。
定期接種の対象者とスケジュール
定期接種:
以下に該当する方に、1回の接種を行います。
- 65歳の方
- 60~64歳で対象となる方
※心臓、腎臓若しくは呼吸器の機能障害又はヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫の機能障害(いずれも対象となる障害単独で身体障害者手帳1級相当の障害)を有する方で、身体障害者手帳の写し又は医師の診断書の原本を接種時に提出した方
(注1)過去にニューモバックス®またはプレベナー®20の高齢者肺炎球菌予防接種を受けたことがある方はこの制度の対象となりません。
(注2)生活保護世帯に属する方、市民税非課税世帯に属する方、中国残留邦人等支援給付を受給されている方は必要書類の提示で自己負担金の免除があります。
任意接種:
66歳以上の方
(注3)過去にニューモバックス®またはプレベナー®20の高齢者肺炎球菌予防接種を受けたことがある方はこの制度の対象となりません。
(注4)生活保護世帯に属する方、市民税非課税世帯に属する方、中国残留邦人等支援給付を受給されている方は必要書類の提示で自己負担金の免除があります。
定期・任意接種に使用するワクチン
プレベナー®20(20価肺炎球菌結合型ワクチン)を用いて、1回筋肉内に接種(現時点では一生に1回)。
自己負担金:5600円
※なるべく予約をお願いいたします。
すでにニューモバックス®を接種した方は
前回接種から1年以上経過すれば、プレベナー®20の接種が可能です(自費12000円税込み)。
現時点では一生に1回で大丈夫です。詳細は、当院までご相談ください。
参照:
成人肺炎診療ガイドライン2024 日本呼吸器学会
厚生労働省 令和6年(2024)
人口動態統計月報年計(概数)の概況
65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方(第7版 2025年9月30日)日本感染症学会
高齢者の肺炎球菌ワクチン 厚生労働省
名古屋市 高齢者肺炎球菌(定期予防接種)
