フレイル(高齢者の病的老化)について

フレイルとは…

 フレイルとは、加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態です。しかし、適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態で、要介護になる前の可逆性の虚弱(老化現象)です。

 簡単に言うと、努力すれば、治療すれば元にもどる!悪化しない!「可逆性」がキーワードです!

                 都医師会HPより引用

 加齢などにより筋力や筋肉量が減少すると活動量が減り、エネルギー消費量が低下します。さらにその状態では食食欲低下から、食事摂取量が減り、タンパク質をはじめとした栄養の摂取不足による低栄養の状態になります。低栄養の状態が続くと体重が減少し、筋力や筋肉量が減少します。こうした悪循環をフレイル・サイクルと呼び、転倒や骨折あるいは慢性疾患の悪化をきっかけとして要介護状態になる可能性が高くなる「悪循環」を起こします。

フレイルの診断基準:

 フレイルの早期発見、早期介入のために、市民が主体となってフレイル予防に取り組んでいくために、東京大学高齢社会総合研究機構の飯島勝矢教授によって、「フレイルチェック」が考案されました。この市民による市民のための「フレイルチェック」は大きく分けて、簡易チェックと総合チェック(深掘りチェック)の2つで構成されています。「簡易チェック」は、指で輪っかをつくり、ふくらはぎを囲んでチェックする「指輪っかテスト」です。隙間ができるとフレイル要注意です。

 次に、身体的、精神的、社会的の3つの面(栄養、歯科口腔、運動、社会性、うつ、等)を評価できる11の質問からなる「イレブンチェック」で構成されています。一つでもチェックが入れば、フレイル要注意です。

イレブンチェック

  1. ほぼ同じ年齢の同性と比較して健康に気を付けた食事を心がけていますか
  2. 野菜料理と主菜(お肉またはお魚)を両方とも毎日2回以上は食べていますか
  3. 「さきいか」、「たくあん」くらいの固さの食品を普通に噛み切れますか
  4. お茶や汁物でむせることがありますか
  5. 1回30分以上の汗をかく運動を週2日以上、1年以上実施していますか
  6. 日常生活において歩行または同等の身体活動を1日1時間以上実施していますか
  7. ほぼ同じ年齢の同性と比較して歩く速度が速いと思いますか
  8. 昨年と比べて外出の回数が減っていますか
  9. 1日に1回以上は、誰かと一緒に食事をしますか
  10. 自分が活気に溢れていると思いますか
  11. 何よりまず、物忘れが気になりますか

フレイルの危険度:

 フレイル高齢者の割合は、地域在住高齢者の約10%前後と推計され、フレイル高齢者の割合は加齢とともに増加し、男性に比較して女性に多いと言われています。慢性疾患で外来通院中の高齢者や施設入所者におけるフレイルの割合は、地域在住高齢者における割合よりも高く、フレイルの有症率(病気を持つ人のうち、実際に症状が出ている人の割合)は65歳以上の高齢者では11.5%、予備軍で32.8%と加齢に伴い増加しました。

フレイルの危険因子:

 フレイルの危険因子は、栄養面では栄養摂取、特にタンパク質摂取不足があります(別の欄で詳述)。さらに、活動性の低下や運動不足も「閉じこもり」や「ロコモティブシンドローム(骨、関節、筋肉、神経などの障害による運動機能)」として予防が重要です。

 しかし、これらに加えて精神状態や意欲低下(アパシー)や認知機能の低下も対応が必要です。

 最近、特に注目されているのが、ポリファーマシーと言って多くの薬を服用することにより副作用などの有害事象を起こすことです。多数のお薬を同時に服用・使用することで、診療科が異なる場合などの複数の処方、アドヒアランス(くすりの積極的使用と協力)の低下など、さまざまな要因から予測不可能な有害事象(副作用)が起こる可能性が高くなります。このようなポリファーマシーを防ぐため、薬局では、「かかりつけ薬局」、「かかりつけ薬剤師」の時代になり、処方薬の一元管理として市販薬の服薬状況、お薬手帳の有効活用、併用薬の相互作用などのチェックなどを積極的におこなっています。当院でも処方箋を扱っている薬局に連携をお願いして予防を行っています。積極的にご相談ください。

フレイルの合併症:

 フレイルと死亡の関係では、フレイルの患者さんは2.34倍、合併のない人に比べて多いとされています。さらに、入院は1.2-1.8倍、施設入所1.7倍、日常生活の障害1.6-2.0倍となり、認知症も1.3-2.7倍多いと言われています。また、予後不良な慢性疾患として心不全、急性冠症候群、糖尿病、慢性閉塞性肺疾患や慢性腎不全の合併も多いです。

フレイルの予防:

 フレイルの予防は、低栄養状態と肥満がフレイルには因果関係があり、栄養介入にて一定の効果は認められるが、運動療法との併用を推奨するとされています。さらに、筋力・筋肉量が低下し、脂肪組織に置き換わった肥満もサルコペニア肥満としてフレイルにつながります。栄養療法については、後述します。