日本人の「平均寿命」は常に男女ともに世界1、2位を争っているのは周知の事実です(2021年統計にて男性81.7歳で第2位、女性87.2歳で第1位)。しかし、医療者は、平均寿命から寝たきりや認知症など要介護状態の期間を差し引いた「健康寿命」を重視しており、実は愛知県は男性全国15位(72.91歳)、女性6位(76.07歳)です(2022年)。これは、介護に対して前向きな県の取り組みがあっての上での誇るべき順位なのです。要介護になる条件は、生活習慣病の悪化が考えられますが、実は認知症や老衰、転倒骨折などの方が多いと言われています。そこで、今大きく注目されているのは「フレイル」という新しい概念です。

東京都医師会HPより引用
フレイルとは、要介護になる前の可逆性の虚弱(老化現象)で、予防可能、治療可能な老化状態のことです。具体的には、筋肉の減少・肺活量の低下といった「身体的なフレイル」、記憶力の低下・気分的なうつといった「精神・心理的なフレイル」、社会的な孤立・経済力の不足・引きこもりといった「社会的なフレイル」があり、後期高齢者(75歳以上)の方は前期高齢者(65歳~74歳)と比べてフレイルの進行が顕著になると言われています。厚生労働省では、2020年4月から後期高齢者に対する「フレイル健診」が開始されました。

東京都医師会HPより引用
フレイルになりやすい生活状態として、「栄養不良・偏食」「活動性の低下」「うつ状態、閉じこもり」などが指摘されています。もちろん、糖尿病などの基礎疾患がある方は、治療による予防や病態安定化は必須です。そこで、今回私がご提案するのは、誰でもできるフレイル予防です。
まず、食生活で、「三食欠かさず、定時に同じカロリー、栄養を食べる」「大豆などの植物性たんぱく質に加えて、肉や卵などの動物性たんぱく質を適量摂る」「カルシウムやビタミンなども積極的に」が重要です。最近の研究で、高齢者の消化吸収機能は保持されていて、タンパク質を積極的にとっても、腎機能が悪い方以外は、十分消化吸収され、筋肉量の維持につながるそうです。
次に、適度な運動ですが、20分以上の歩行や家事、清掃(有酸素運動)に加えて、無理のない筋肉トレーニングを追加することです(ラジオ体操など)。ただし、心臓や肺機能の悪い方は、必ず主治医に相談してください。
最後に、口腔ケア。愛知県は以前から「8020運動」として、健康な歯と口腔環境の維持を推進しています。これは、歯周病だけでなく、同時に嚥下訓練などを行うことで誤嚥性肺炎の予防にも効果があり、認知機能や日常生活にもよい影響があると言われています。
これらに加えて、今回一番お勧めしたいのが、趣味や生きがいをもって積極的に社会活動に参加することです。社会活動といっても、地域のボランティアから老人会、川柳大会、麻雀大会など、なんでもいいのです。人と関りをもって、他人を思いやり、自分を高めていく気力が大切です。それこそが、私がお勧めする健康な老後ライフです。
