麻しん(はしか)予防について

麻しんウイルスによって引き起こされる急性の全身感染症で発熱、全身の発しん、また、咳、鼻水、目の充血などが主な症状です。

麻しんウイルスの感染経路は、空気感染、飛沫感染、接触感染で、ヒトからヒトへ感染し、その感染力は非常に強いと言われています。免疫を持っていない人が感染すると、ほぼ100%発症し、一度感染して発症すると一生免疫が持続すると言われています。

予防と対策

ワクチン:

麻しん含有ワクチン(麻しん風しん混合ワクチン:MRワクチン)を接種することによって、95%程度の人が麻しんウイルスに対する免疫を獲得することができると言われています。日本では、2006年度より、1歳児と小学校入学前1年間の小児の2回接種が導入されています。麻しん含有ワクチン(MRワクチン)を接種することによって、1回接種で93~95%以上、2回接種で97~99%以上の免疫獲得率が報告されています。

ワクチン接種フローチャート(日本環境感染学会)

A:麻しん抗体 EIA法(IgG) 2.0未満

B:             2.0以上16.0未満

C:             16.0以上

*麻しん含有ワクチンの世代別感染リスク

1. 1972(昭和47)年9月30日以前生まれ:定期摂接種なし、感染歴がなければ2回接種必要

2. 1972(昭和47)年10月1日~1990(平成2)年4月1日生まれ:

   定期接種1回のみ、2回接種していなければ追加接種必要

3. 1990(平成2)年4月2日~2000(平成12)年4月1日生まれ:

   定期接種1回のみ、特例措置の対象者であるが、中学1年生または高校3年生のときに接種がなければ追加接種必要

   *特例措置:2008(平成20)年から5年間、当時中学1年生または高校3年生にMRワクチン追加

4.2000(平成12)年4月2日以降の生まれ:

   定期接種2回(第1期生後12-24カ月、第2期5歳以上7歳未満)

   *2006年4月からはMRワクチンへ変更

*麻しん含有ワクチンが最も有効な予防法といえます。また、麻しんの患者さんに接触した場合、72時間以内に麻しん含有ワクチンの接種をすることで、麻しんの発症を予防できる可能性があります。

γグロブリン:

麻しん患者に接触後4日以上6日以内であれば、γ-グロブリンの注射で発症を抑えることができる可能性があります。詳しくは、かかりつけの医師とご相談ください。

感染経路

麻しんウイルスの感染経路は、空気感染、飛沫感染、接触感染で、ヒトからヒトへ感染し、その感染力は非常に強いと言われています。
・ 「接触感染」はウイルスが付着した手を介して広がり、「飛沫感染」は咳やくしゃみで飛散したウイルスを含む飛沫で感染が広がります

・ 「空気感染」では、集団の場で1人の発症があった場合、同じ空間にいる免疫のない方は、発症する可能性が非常に高いです

・ ウイルスは、浮遊中や物質の表面で最大2時間の活性があり、感染力を持ちます

・ 発症した患者さんでは、発疹の出る4日前から発疹出現の4日後(発症日の1日前から解熱後3日間を経過するまでの期間)まで感染力があると言われています。

症状

前駆期(カタル期)

感染後に10~12日の潜伏期間を経て発症する。発症時、38℃前後の発熱が2~4日間続き、倦怠感があり、小児では不機嫌となり、上気道炎症状(咳嗽、鼻漏、咽頭痛)と結膜炎症状(結膜充血、眼脂、羞明)がほぼ同時に現れ、次第に増強する。乳幼児では8~30%に消化器症状として下痢、腹痛を伴う。発疹出現の1~2日前頃に頬粘膜の臼歯対面に、やや隆起し紅暈に囲まれた約1mm径の白色小斑点(コプリック斑)が出現する。コプリック斑は診断的価値があるが届出基準には含まれない。発疹出現後2日目を過ぎる頃までに急速に消失する。また、口腔粘膜は発赤し、口蓋部には粘膜疹がみられ、しばしば溢血斑を伴うこともある。

発疹期

前駆期(カタル期)での発熱が1℃程度下降した後、半日くらいのうちに再び高熱(多くは39.5℃以上)が出るとともに(2峰性発熱)、特有の発疹が耳後部、頚部、前額部より出現し、翌日には顔面、体幹部、上腕に及び、2日後には四肢末端にまで及ぶ。発疹が全身に広がるまで、発熱(39.5℃以上)が3~4日間続く。発疹は初め鮮紅色扁平であるが、まもなく皮膚面より隆起し、融合して不整形斑状(斑丘疹)となる。指圧によって退色し、一部には健常皮膚面を残す。発疹は次いで暗赤色となり、出現順序に従って退色する。発疹期にはカタル症状は一層強くなり、特有の麻しん様顔貌を呈する。

回復期

発疹出現後3~4日間続いた発熱も回復期に入ると解熱し、全身状態、活力が改善してくる。発疹は退色し、色素沈着がしばらく残り、僅かの糠様落屑がある。カタル症状も次第に軽快する。

合併症のないかぎり7~10日後には回復する。患者の気道からのウイルス分離は、前駆期(カタル期)の発熱時に始まり、第5~6発疹日以後(発疹の色素沈着以後)は検出されない。この間に感染力をもつことになるが、カタル期が最も強い。

合併症

1)肺炎

麻しんの二大死因は肺炎と脳炎であり、注意を要する。肺炎の合併は6%に認められ、乳児では死亡例の60%は肺炎に起因するものである。

2)中枢神経系合併症

1,000例に0.5~1例の割合で脳炎を合併し、思春期以降の麻しんによる死因としては肺炎よりも多い。発疹出現後2~6日頃に発症することが多く、麻しんの重症度と脳炎発症には相関はない。

3)中耳炎

4)クループ症候群

5)心筋炎

6)亜急性硬化性全脳炎(subacute sclerosing panencephalitis:SSPE)

 発症のリスクとして知られているのは、2歳未満での麻しん罹患である。潜伏期間は4~8年とされており、6~10歳頃に発症することが多いとされるが、それ以外の年齢で発症する場合もある。知的能力の低下、運動障害が徐々に進行し、ミオクローヌスなどの錐体・錐体外路症状を示すが、特に成人発症例では、非典型的な経過をとることが多い。

修飾麻しん

修飾麻しんは、麻しんウイルスの感染に対する免疫が不十分なヒト、例えば母体からの移行抗体をもつ乳児、麻しん含有ワクチンによって誘導された免疫が不十分な場合等に、麻しんウイルスが感染したときに現れる病型のひとつである。修飾麻しんは上述したような典型的な麻しんの症状を示さず一般的に軽症で、感染力も典型的な麻しんと比較すると弱い。症状は、微熱、発熱期間が短い、カタル症状を認めない、限局性の発疹などである。

感染力が強い感染症

基本再生産数(R0):感染症にかかった1人の患者が、平均して何人に感染を広げるかを示す数字です。

 ちなみに、インフルエンザは1.2-1.4とされています。

麻疹(はしか)基本再生産数: 約12~18 潜伏期間: 10~14日

*ウイルスは空気感染・飛沫感染で広がり、非常に小さく軽いため空気中に長時間漂うことができ、ウイルスは室内の空気中2時間ほど感染力を保つため、患者がいた部屋に後から入った人が感染することもある。

百日咳(ひゃくにちぜき)基本再生産数: 約12~17 飛沫感染 潜伏期間: 5~10日

水痘(みずぼうそう)基本再生産数: 約10~12 空気感染、飛沫感染、接触感染 潜伏期間: 14~16日

おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)基本再生産数: 推定4~7程度 飛沫感染、接触感染 潜伏期間: 16~18日

風疹(ふうしん、三日ばしか)基本再生産数: 約6~7 飛沫感染 潜伏期間: 2~3週間

治療方法

基本的には、発熱に対する解熱剤など症状に応じた対症治療を行います。

参考:

国立健康危機管理研究機構JIHS 感染症情報提供サイト 麻しん(詳細版)

厚生労働省 麻しん(五類)、MRワクチン

国立研究開発法人 国立成育医療研究センター はしか(麻しんウイルス感染症にご注意ください!!