離乳について(乳児期後半の栄養)

離乳の定義

 離乳とは、母乳または育児用ミルクなどの乳汁栄養から幼児食に移行する過程をいう。この間に乳児の摂食機能は、乳汁を吸うことから、食物をかみつぶして飲み込むことへと発達し、摂取する食品は量や種類が多くなり、献立や調理形態も変化していく。また 摂食行動は次第に自立へと向かっていく。

離乳の役割

・必要栄養量の補給(同時に生後6ヵ月頃に母乳の成分が変化してくる)

            母乳ラボ ビーンスタークHPより引用

・哺乳反射から摂食機能へ成長。

・消化機能の発達。

・大脳の発達を促す効果。

離乳の時期と目的

平成27年度 乳幼児栄養調査結果の概要 厚生労働省より引用

離乳食の開始時期は、「6か月」の割合が44.9%と最も高く、10年前よりピークが1か月遅くなっていた。また、離乳食開始の目安は、「月齢」の割合が84.3%と最も高かった 離乳食の完了時期は、「13~15か月」の割合が33.3%と最も高く、10年前よりピークが遅くなっていた。

離乳の実際

月齢基準となる体重1回あたり 母乳量(mL)回数授乳間隔
(kg)授乳回数(回)離乳食(回)
5-7カ月7.7200離乳食後1回+4-5回+14-5時間
7-9カ月8.3200離乳食後2回 +3回+25-6時間
9-12カ月8.8200離乳食後3回 +2回+35-6時間

栄養摂取基準:

①エネルギー

推定エネルギー必要量(kcal/日)=総エネルギー消費量+エネルギー蓄積量

6~8か月:男児650kcal 女児600kcal

9~11か月:男児700kcal 女児650kcal

②たんぱく質

 6~8か月:15g/日 9~11カ月:25g/日

③脂質

 6~11カ月:40g/日

*体重増加の目安

月齢1日あたりの体重増加目安週あたり/月あたり
生後4ヶ月以降15~30g600~900g/月

離乳の支援

(1)離乳の開始

離乳の開始とは、なめらかにすりつぶした状態の食物を初めて与えた時をいう。開始時期の子どもの発達状況の目安としては、首のすわりがしっかりして寝返りができ、5秒以上座れる、スプーンなどを口に入れても舌で押し出すことが少なくなる、哺乳反射(探索反射、口唇反射、吸てつ反射等で生まれた時から備えもつ乳首を取りこむための不随意運動で、大脳の発達とともに減少し、生後5~7か月頃に消失)の減弱、食べ物に興味を示すなどがあげられる。その時期は生後5~6か月頃が適当である。ただし、子どもの発育及び発達には個人差があるので、月齢はあくまでも目安であり、子どもの様子をよく観察しながら、親が子どもの「食べたがっているサイン」に気がつくように進められる支援が重要である。なお、離乳の開始前の子どもにとって、最適な栄養源は乳汁(母乳又は育児用ミルク)であり、離乳の開始前に果汁やイオン飲料を与えることの栄養学的な意義は認められていない(イオン飲料の多量摂取による乳幼児のビタミンB1欠乏が報告されている。授乳期及び離乳期を通して基本的に摂取の必要はなく、必要な場合は、医師の指示に従う)。また、蜂蜜は、乳児ボツリヌス症を引き起こすリスクがあるため、1歳を過ぎるまでは与えない。

(2)離乳の進行

離乳の進行は、子どもの発育及び発達の状況に応じて食品の量や種類及び形態を調整しながら、食べる経験を通じて摂食機能を獲得し、成長していく過程である。食事を規則的に摂ることで生活リズムを整え、食べる意欲を育み、食べる楽しさを体験していくことを目標とする。食べる楽しみの経験としては、いろいろな食品の味や舌ざわりを楽しむ、手づかみにより自分で食べることを楽しむといったことだけでなく、家族等が食卓を囲み、共食を通じて食の楽しさやコミュニケーションを図る、思いやりの心を育むといった食育の観点も含めて進めていくことが重要である。

《離乳初期(生後5か月~6か月頃)》

離乳食を飲み込むこと、その舌ざわりや味に慣れることが主目的である。離乳食は1日1回与える。母乳又は育児用ミルクは、授乳のリズムに沿って子どもの欲するままに与える。食べ方は、口唇を閉じて、捕食や嚥下ができるようになり、口に入ったものを舌で前から後ろへ送り込むことができる。

《離乳中期(生後7か月~8か月頃)》

生後7~8か月頃からは舌でつぶせる固さのものを与える。離乳食は1日2回にして生活リズムを確立していく。母乳又は育児用ミルクは離乳食の後に与え、このほかに授乳のリズムに沿って母乳は子どもの欲するままに、ミルクは1日に3回程度与える。食べ方は、舌、顎の動きは前後から上下運動へ移行し、それに伴って口唇は左右対称に引かれるようになる。食べさせ方は、平らな離乳食用のスプーンを下唇にのせ、上唇が閉じるのを待つ。《離乳後期(生後9か月~11か月頃)》

歯ぐきでつぶせる固さのものを与える。離乳食は1日3回にし、食欲に応じて、離乳食の量を増やす。離乳食の後に母乳又は育児用ミルクを与える。このほかに、授乳のリズムに沿って母乳は子どもの欲するままに、育児用ミルクは1日2回程度与える。食べ方は、舌で食べ物を歯ぐきの上に乗せられるようになるため、歯や歯ぐきで潰すことが出来るようになる。口唇は左右非対称の動きとなり、噛んでいる方向に依っていく動きがみられる。食べさせ方は、丸み(くぼみ)のある離乳食用のスプーンを下唇にのせ、上唇が閉じるのを待つ。手づかみ食べは、生後9か月頃から始まり、1歳過ぎの子どもの発育及び発達にとって、積極的にさせたい行動である。食べ物を触ったり、握ったりすることで、その固さや触感を体験し、食べ物への関心につながり、自らの意志で食べようとする行動につながる。子どもが手づかみ食べをすると、周りが汚れて片付けが大変、食事に時間がかかる等の理由から、手づかみ食べをさせたくないと考える親もいる。そのような場合、手づかみ食べが子どもの発育及び発達に必要である理由について情報提供することで、親が納得して子どもに手づかみ食べを働きかけることが大切である。

*フォローアップミルク

フォローアップミルクは、9か月を過ぎた離乳期以降から3歳ころまでの、乳児期から幼児に成長する大切な時期に必要な栄養素をバランスよく摂取できるよう作られた粉ミルクです。母乳あるいは乳児用調製粉乳で順調に発育してきた乳児は、5~6か月ごろから離乳食が始まり、9か月ごろになると体も大きくなり運動量も増えるので、離乳食だけでは質・量ともに十分とは言えません。この離乳期に、特に不足しがちなたんぱく質や鉄などの栄養素を、バランスよく補うのがフォローアップミルクです。

フォローアップミルクは離乳後期以降の栄養を補うように作られており、母乳の代替食品ではありませんので、離乳が順調に進んでいる場合は摂取する必要はありません。離乳が順調に進まず鉄欠乏のリスクが高い場合や、適当な体重増加がみられない場合には、医師に相談した上で、必要に応じてフォローアップミルクを活用すること等を検討してください。

フォローアップミルクの成分の特徴

・たんぱく質は乳児用調製粉乳より多い。
・離乳期以降の幼児において不足しやすい鉄およびカルシウムは、乳児用調製粉乳より多い。
・脂肪は、乳児用調製粉乳や牛乳より少ない。
・母乳代替品ではないため、乳児用調製粉乳で添加が認められている銅と亜鉛は強化されていない。

                                 日本乳業協会より引用

(3)離乳の完了

離乳の完了とは、形のある食物をかみつぶすことができるようになり、エネルギーや栄養素の大部分が母乳又は育児用ミルク以外の食物から摂取できるようになった状態をいう。その時期は生後12か月から18か月頃である。食事は1日3回となり、その他に1日1~2回の補食を必要に応じて与える。母乳又は育児用ミルクは、子どもの離乳の進行及び完了の状況に応じて与える。なお、離乳の完了は、母乳又は育児用ミルクを飲んでいない状態を意味するものではない。食べ方は、手づかみ食べにて前歯で噛み取る練習をして、一口量を覚え、やがて食具を使うようになって、自分で食べる準備をしていく。

(4)食品の種類と調理

ア 食品の種類と組合せ

与える食品は、離乳の進行に応じて、食品の種類及び量を増やしていく離乳の開始は、おかゆ(米)から始める。新しい食品を始める時には離乳食用のスプーンで1さじずつ与え、子どもの様子をみながら量を増やしていく。慣れてきたらじゃがいもや人参等の野菜、果物、さらに慣れたら豆腐や白身魚、固ゆでした卵黄など、種類を増やしていく。離乳が進むにつれ、魚は白身魚から赤身魚、青皮魚へ、卵は卵黄から全卵へと進めていく。食べやすく調理した脂肪の少ない肉類、豆類、各種野菜、海藻と種類を増やしていく。脂肪の多い肉類は少し遅らせる。野菜類には緑黄色野菜も用いる。ヨーグルト、塩分や脂肪の少ないチーズも用いてよい。牛乳を飲用として与える場合は、鉄欠乏性貧血の予防の観点から、1歳を過ぎてからが望ましい。離乳食に慣れ、1日2回食に進む頃には、穀類(主食)、野菜(副菜)・果物、たんぱく質性食品(主菜)を組み合わせた食事とする。また、家族の食事から調味する前のものを取り分けたり、薄味のものを適宜取り入れたりして、食品の種類や調理方法が多様となるような食事内容とする。

母乳育児の場合、生後6か月の時点で、ヘモグロビン濃度が低く、鉄欠乏を生じやすいとの報告がある。また、ビタミンD欠乏の指摘もあることから、母乳育児を行っている場合は、適切な時期に離乳を開始し、鉄やビタミンDの供給源となる食品を積極的に摂取するなど、進行を踏まえてそれらの食品を意識的に取り入れることが 重要である。フォローアップミルクは母乳代替食品ではなく、離乳が順調に進んでいる場合は、摂取する必要はない。離乳が順調に進まず鉄欠乏のリスクが高い場合や、適当な体重増加が見られない場合には、医師に相談した上で、必要に応じてフォローアップミルクを活用すること等を検討する。

イ 調理形態・調理方法

離乳の進行に応じて、食べやすく調理したものを与える。子どもは細菌への抵抗力が弱いので、調理を行う際には衛生面に十分に配慮する。食品は、子どもが口の中で押しつぶせるように十分な固さになるよう加熱調理をする。初めは「つぶしがゆ」とし、慣れてきたら粗つぶし、つぶさないままへと進め 軟飯へと移行する。野菜類やたんぱく質性食品などは、始めはなめらかに調理し、次第に粗くしていく。離乳中期頃になると、つぶした食べ物をひとまとめにする動きを覚え始めるので、飲み込み易いようにとろみをつける工夫も必要になる。調味について、離乳の開始時期は、調味料は必要ない。離乳の進行に応じて、食塩、砂糖など調味料を使用する場合は、それぞれの食品のもつ味を生かしながら、薄味でおいしく調理する。油脂類も少量の使用とする。離乳食の作り方の提案に当たっては、その家庭の状況や調理する者の調理技術等に応じて、手軽に美味しく安価でできる具体的な提案が必要である。

                      授乳・離乳の支援ガイド 2019年3月より引用

                        子ども家庭庁HPより引用

授乳・離乳の支援ガイド厚生労働省2019年改訂より引用

          日本人の食事摂取基準2025年版 厚生労働省より引用